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プログラミングと計算機科学とかわいさ

Grothendieck群とBurnside環の定義

局所有限トポス上の離散数学の構築を目指して

という論文で、Burnside環という環を扱っていた.定義は「局所有限トポスの同型類から得られるGrothendieck ring」らしく, これではよく分からなかったので調べた.

Grothendieck

Grothendieck群は可換モノイドから作るAbel群のことで, しかもこの構成はfree functor \(\mathbf{CMon} \to \mathbf{Ab}\)を与えるらしい.\(\mathbb{N}\)から\(\mathbb{Z}\)を作るのと同じ方法で, 可換モノイド\(A\)に対し\(A \times A \)に同値関係を\((a,b) \sim (a',b') \iff \exists k : a + b' + k = a' + b + k\)で定めるとこれは群になる.この群をGrothendieck群という.

ToposとGrothendieck

Toposはlimit, colimitを持つので\(0,1,+,\times\)があって欲しい性質は大体満たしている. (可換半環になっている)ここから環を作るには和に関して可換モノイドを群に拡張してやればよく, 構成は大体上と同じ方法でできる.

Topos \(\mathcal{E}\)に対し, その同型類\(\mathcal{E}/\cong\)を考える. 上と同じ方法によって, \(\mathcal{E}/\cong \times \mathcal{E}/\cong\) (Toposの同型類の2つ組全体)は群になる. \(\mathcal{E}\)にもともと備わっているproductと合わせてこれは環になる.今の場合こうやって得た環をBurnside環と言うらしい.

気になったこととして和と積の分配則ってToposだと成り立つんだっけ?とか思った.よく考えれば(coproductをもつ)CCCでは直積はexponentialの左随伴なのでcolimitを保つのですぐ言える.初め\(A \times (B + C) \cong A \times B + A \times C \)の間の同型射を具体的に構成しようとしたら右から左が作れなくてつらかった.調べたら, 直接的な構成もできるみたいだけどexponentialの方にもっていったりしないといけないらしく大変そうだった.cf. Cartesian closed categories are distributive


Grothendieck群は加群の完全列を使っても定義できるらしい.つまり, 加群の同型類全体を考えて, ここに関係式を\(0 \to A \to B \to C \to 0\)が完全 iff \([A] - [B] + [C] = 0\)で定める. するとこれもAbel群になるというもの. 大体同じことがAbel圏とか三角圏でもできる.

WikipediaによるとGrothendieck群はK-theoryで重要らしい.そ, そうなのかー.

参考文献