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プログラミングと計算機科学とかわいさ

2ヶ月くらいでノベルゲームを作った話

発端


で2ヶ月くらいでノベルゲーム(正確にはデジタルノベル、あるいはヴィジュアルノベルと呼ばれるものです)を作りました↓*1

チェイン・コンプレックス

ので、今回のプロジェクトについてまとめます。

製作にあたって

必要になったもの

  • ノベルエンジン: 吉里吉里/KAG
  • 企画・シナリオ
  • ノベルエンジン・スクリプト・フォント
  • キャラクター立ち絵
  • 背景(写真を加工→後述)
  • BGM/SE
  • 宣伝するところ
  • (やる気・根気)

企画・シナリオ・キャラクター立ち絵・スクリプトに関しては自分でなんとかして、あとのものは借りてなんとかしました。 借りた素材やらのリンクはリンクページにリンクを貼っておきました。

製作過程

1. 企画・プロット

今回は一人のプロジェクトだったので企画書のようなものは作ってません。プロットを書きながらあんなことをしたいこんなこともしたいでずっとごにょごにょやってました(後で色々変更したけど)。

モチベーション上げるために好きなノベル作品の思い出に浸ったりもしてました。

今回は作品が作品だっただけに、プロットを書くにあたってグラフエディターのようなものが欲しかったので yEd - Graph Editor を使いました。

2. シナリオ

最終的にシナリオは270KBです(お話に関係のあるシナリオファイルのファイルサイズ)。
シナリオは80%かくのに3週間ほどかかってしまって、なかなか大変でした(主に中だるみ)。書いていてつらい、しんどいなどの症状が出たらそれはシナリオがつまらない可能性があるなと思ってプロットを見直したりもしていました。

今回の作品は前半部分が「恋愛パート」、後半部分が「SFパート」の形になるお話だったので、前半後半で気分も切り替えられて良かったと思います(前半はずっと幼馴染み可愛いしか言ってなくて、後半はずっと頭をひねりながら矛盾が出ないようにプロットをいじってました)。

時間もかかったけど楽しかったです。今もそれなりに満足しています。

アウトラインプロセッサと呼ばれるソフトも導入しました。使ったのはこちら→ Olivine Cafe - OlivineEditor

3. 背景

背景は写真素材を頑張って加工しました。
写真素材を使ったのは、そちらの方が圧倒的に素材の数が多かったからです(「〜のシーン背景が欲しい」などの要望がある場合はイラスト素材だと難しいことがあります)。

加工はそれなりに難しいですが、比較的うまくやると以下のような感じになります(写真はhttp://ruta2.fc2web.com/frame.htmlより)。

f:id:myuon_myon:20131201034227p:plain

加工に際しては 写真を絵のように見せる写真加工技術「PhotoDramatica」トップ - あやえも研究所 を大いに参考にしました。

これだけあればそれなりのことはできます。ただし適度に妥協が必要です。

4. キャラクター立ち絵

リリース3日前に描き直したりと色々ありましたがなにより可愛く描けたと思うのでとても気に入ってます。
チェイン・コンプレックスでサンプルが見れます。

ちなみに枚数は、 幼馴染み表情差分16パターン+クラスメート表情差分16パターン+その他2枚 の立ち絵を用意しました。
ただ「笑い」「泣き」みたいに用意していたんですが、より細かく
「笑い(コミカル)」「笑い(爆笑)」
「泣き(コミカル)」「泣き(大泣き)」
のように、それぞれ喜怒哀楽について2パターンくらい用意しておけばなんとかなったのではないかなと思います。

不思議・困惑などの差分も用意しましたが、シーンによっては合っていないようなところもあったので、分かりやすく「笑いA・B」「泣きA・B」のようにした方が立ち絵の選択にも迷いにくかったかなと思っています。

5. スクリプト

システムボタンプラグインは公式で配布されているものを自分で改造しました(テキストボタンが使えるように)。

さて、YesNoDialogLayerスクリプトはデフォルトだとYes/Noダイアログが開くようになっている部分をレイヤーベースのものに書き換えるプラグインです。これが実は厄介で、ダイアログの場合はYes/Noのどちらを押したかが戻り値として返ってきますがこれはレイヤーベースなので表示する瞬間とYes/Noが確定するタイミングはずれます(ダイアログを表示する瞬間は必ずfalseが返される)。
そしてそこの処理とセーブロードプラグインの「読み込みますか→はい/いいえ」の処理が丁度バッティングするので、「Yesを押した時〜する」という処理をキチンとフックしてあげないといけないわけですが、これに気が付かず、ここに起因するバグフィックスにそれなりに時間を取られました。

よってYesNoDialogLayerスクリプトを入れる際には、既存のプラグインがダイアログボックスを使っていないかどうかしっかり吟味してから導入した方がよいと思います…。

6. BGM/SE

SEは特に言うことないです。ググって良さげなものを探して借りました。

BGMは選定に非常に時間がかかるので、予め片っ端から聴いておき、使えそうな曲には

BGM001.ogg: 主人公が幼馴染みと喧嘩してから一夜明け、なんとなく気まずい雰囲気

みたいに、どういうシチュエーションで使える曲かを細かくメモっておけば時間短縮になります。ただ明るい、暗いだけでは大雑把すぎるので曲に対してシーンを作るとしたらどうなるだろう?と考えてメモを作ると意外と曲の選定で迷いません。

あと、50MB程度あるzipのうち半分はBGMが持っていってるので、調子に乗って色々使いすぎないほうがいい気はします。

7. リリース

リリースは個人サイトの一部に専用ページを作りました。Bootstrap を使ったのでほとんど時間もかかっていません。

zipファイルはSimple File Sharing and Storage.ふりーむ! - フリーゲーム/無料ゲーム 5000本!にアップロードしました。
アップローダーとしてMediaFireを選んだのはうるさい広告がなかったことと、ダウンロードする人への制限があまり厳しくなかったからです。ふりーむ!をはじめとしてフリーゲーム紹介サイトなどには積極的に登録しました。

リリースして少ししてから、レビューを書いていただきました。とても嬉しいです!ありがとうございます。

どちらのレビューにもシステムが不安定と言われていて、実際バグがあったわけなんですが、こういうのをレビュー媒介でしか知れないのは色々アレなので掲示板は作っておいたほうがいいなと思いました(現在は掲示板も設置してあります)。

v2.0でシステムバグはそれなりに解消したつもりですが、v1.0公開から少し間が空いてしまったことは本当に申し訳ないと思っています。

まとめ

2ヶ月という短いスパンでの開発でしたが、考えれば無駄もたくさんあり、この程度の規模のゲームなら慣れれば1ヶ月程度でできるのではないかなと思います。

また、開発にあたっては全てUbuntuとWineを使って行いましたが吉里吉里は全く問題なく動いてくれました。Wineはとても優秀です。
(ただし主に使っていたエディター(KKDE)はWineの上だとそこそこ不安定だったのでWindowsを使ったほうが無難だとは思います。また、テストプレイはWindowsで行なうべきです…当たり前ですが。)

12/1現在でDL数も400を超え、当初予想よりも遥かに色んな人にプレイしてもらえたみたいでとても嬉しかったです(主にレビューのおかげです)。
それなりに色々やらかしたりもしていて、シナリオ修正とかバグフィックスとかあれこれ大変なこともありましたけど何より楽しかったのでとてもいい経験になりました。

思っていたよりも簡単に、それらしいものができたので満足しています。もしも次があれば、今回の経験も踏まえてもっとよいものを作りたいと思います。
このまとめがこれからゲームを作る誰かのお役に立てれば幸いです。

*1:ゲームの内容とチェイン複体は何の関係もありません。なんとなく名前をつけただけです。